昨今管理職になりたくない人が増えているというニュースをよく目にします。
その一方で、管理職になりたいけどなかなか上司から打診されない、昇進できない方も多くいらっしゃると思います。
私はこれまで社会人を20年ほどやってきており、現職含めて5社の会社を渡り歩いてきています。
運の良いことに、新卒で入社した会社を除いて、2社目以降の会社では全て部長職以上(うち1社は役員)の経験がありますので、自分がなぜ様々なタイプの上司から管理職に選ばれてきたのか、また今は管理職を抜擢する立場でもあるのでどういう視点で管理職を選んでいるのかについて独自の視点で10項目解説していきます。
ちなみに全て年功序列の会社ではないですし、2社目以降転職したタイミングでは全て平社員からスタートしています。
管理職に選ばれる理由①上司とのコミュニケーション力
やはり管理職になるためには、上司とのコミュニケーションはとても大切です。
その中で、まず最初に肝に銘じておいて欲しいことは、
上司に嫌われたら出世したり管理職になることはできない
ということです。
仕事がどんなに出来ても、です。
これはなぜかというと、所詮上司も人間だからです。
嫌いな人間を手元に置きたい人間は原則いません。
人格も優れていて能力もあって、という素晴らしい上司であればよいのですが、上司の9割は無能という説もあります。
では、上司とどうコミュニケーションを取ればよいのでしょうか。
私が実践してきた中で一番重要なテクニックをお伝えします。
例えばあまりイケてない上司がある事象に対して変な見解を言い、あなたに同意を求めてきたとしましょう。
さすがにそこで、
「は?あたまわるいんですか?」
と返すことはないでしょうけど、返答に困ったりするケースもあると思います。
そこで魔法の言葉として、
「あーですね!」
を使いましょう。
そのあとに使うフレーズは、
「あーですね!ちなみに、○○という考え方もあると思うんですけどどうですかねえ??」
と続けてください。
これは、上司の見解を否定せずにあなたの正しい見解で上書きするテクニックです(笑
ここで納得してくれなかった場合は何度かこの手法を試しつつ、何度やってもダメな場合はあなたの見解が実は浅くて間違えているか、その上司が真正のおバカさんかのどっちかです。
後者の場合はまともな会社であればそう遠くないうちにその上司は駆逐されますので、少し我慢しててください。
管理職に選ばれる理由②言われたこと以上のことができる人
かの有名なカーネギーの格言です。
出世しないタイプは2種類である。
言われたことができない人。
言われたことしかできない人。
昔、トヨタ自動車に大野耐一さんという副社長まで務めた非常に仕事に厳しい方がいたのですが、その方もカーネギーと同じことを語っていました。
では、言われたこと以上とは具体的になんでしょうか?
例えば上司に「A社の今期の売上教えて!」と言われたとしましょう。
通常であればA社の売上を調べて上司に伝えると思うのですが、なぜ上司はA社の売上を知りたいのでしょうか?
過去と比較して伸び率が見たいのか、B社との比較がしたいのか、今後の伸び代を直近5年の実績から推し量りたいのか、様々な理由が考えられますよね。
その上司と長らく付き合っていれば、なぜA社の売上情報が必要なのかはわかっているはずです。
そこでA社の売上とともに上司が必要としているであろうことを推測してまとめて提出してあげるとその上司は喜びます。
もしなぜ必要なのかが分からなければ直接聞いてOKです。
これは一例ですが、仕事の意図を汲んだうえでアウトプットを出すことを意識してみてください。
言われたことしかやってないと思われると評価は永遠に上がりません。
管理職に選ばれる理由③事業、組織の改善案を上司に提示して実行できる
どんな組織、事業であっても必ずあるのが「課題」です。
その課題に対して、平社員、管理職、役員、社長とそれぞれのレイヤーで向き合って日々事業運営しています。
あなたが平社員の場合であれば、平社員同士の課題というよりは所属する組織の課題を見つけ、その改善案を上司に提示するようにしてください。
つまり、管理職と同じ目線になるということです。
一見難しそうですが、自分の仕事以外にも目を向ければ、組織の課題や事業の課題は現場であるあなたが一番知っているはずです。
その課題を傍観するのではなく、どうしたら改善できるのかを上司に指示される前に考え、案を作って提示してみてください。
能力がないのにプライドだけが高い大学生ではなく、こういう仕事ができる人のことを本来は意識高い系と言います。
ぜひ今のご自身の仕事や組織における課題について、改善策がないかを考えてみてください。
管理職に選ばれる理由④自己利益ばかり追求しない人
よく肩書きに異様にこだわったり、自分が昇進すべきだと周囲に吹聴している人を見かけませんか?
大抵この種の人物は管理職に選ばれることはありません。
なぜなら、こういうタイプは部下のことを考えるよりも自分の出世のことにしか意識がいかないからです。
管理職に求められることは、自分が前にでることよりも部下を輝かせる能力があるか否かです。
管理職の仕事はチームで成果をだすことが求められるからです。
仮に管理職含めて3人ほどのチームであれば、管理職がプレイングマネージャーとして稼働することで短期的には成果を出せるかもしれませんが、10名のチームになったらどうでしょうか?
一人で10人分仕事ができる人はそうはいないです。
なので必然的に部下がとても大事になります。
また、自分のことしか考えない上司についていく部下はいません。
実際現職でもこういうタイプの人間がいましたが、いくつもの部署を渡り歩いていますが結果として出世していません。
正直言うと、彼は仕事ができないわけではないですし、頭も悪くありません。
ただ、それでも管理職として彼にチームを預けるか?と聞かれれば、答えはNoと言わざるをえません。
野心自体は持っても全然よいのですが、それを不必要に表面に出さないことと、管理職は結果として選ばれるものなので、今回の記事の10項目を意識できればかならず近いうちにそのときは訪れますので安心してください。
管理職に選ばれる理由⑤仕組み化・効率化ができる人
これも言われたこと以上のことが出来る人に少し似ているのですが、業務の仕組み化(平準化)や効率化が出来る人は重宝されます。
実際の例でいうと、私が現職で数年前に管理職になったときの話です。
当時、その事業には取引先が数十社あり、各社に提出するレポートや資料が全てバラバラでした。
当時は取引先別に担当者がついており、それぞれが良かれと思ってオリジナルの資料を作っていたからです。
ただ、その資料の出来がオリジナルといいつつも非常に悪かったわけです。
そこで、当時異動してきたばかりのとある社員が例に漏れずオリジナルの資料を作っていたのですが、彼の資料の出来栄えは素晴らしく、私はすぐに全ての担当者を集めて、資料の統一を指示しました。
その優秀な彼は既存の酷い資料を見て、自分なりに他の人でも使いまわせるような雛形を作ってくれたわけです。(私が頼んだわけではありません。
おかげで全員の資料作成作業時間も大幅に削減できましたし、かつ質が上がっているので取引先からの評価も上がり、当然事業も伸びるので全員の給料や賞与に跳ね返ってくることになりました。
その彼は資料作成はもちろん、本来の担当者としての仕事においても優秀だったので、1年後に管理職に登用されました。
とまあこんな感じです。
それぞれの職場でこういう機会はあると思うので、無駄な業務を削減したり、まとめたり、誰でもできるように平準化するということを意識してみてください。
どんな職場でも必ずこういう機会はあります。(ありすぎると思います。
管理職に選ばれる理由⑥圧倒的に仕事ができる人
管理職になる王道パターンですね。
ひとつ注意すべき点としては、名選手名監督ならずという言葉の通り、プレイヤーの仕事と管理職の仕事は基本的に全く違います。
ただ、昨今では純粋な管理職は少なくてプレイングマネージャーが多いので、やはりプレイヤーとして仕事で成果が出せることは管理職への道としては王道であることは間違いないです。
一方で、インターネット広告代理事業やAbemaなどで有名なサイバーエージェントという会社の管理職登用基準は、
「性格がいい人」
であることにかなり重きを置かれているそうです。
なぜなら「性格がいい人」を管理職にしないと離職率が上がって採用、育成コストが余計にかかったりするからだそうです。
また、私の勤め先もそうですが、プレイヤーとして優秀で管理職に向いていない、やりたくない人向けには報酬を上げてあくまでもプレイヤーとして頑張ってもらう人事体系がありますが、これは多くの会社で採用されているのではないでしょうか。
管理職に選ばれる理由⑦評価は全て他者によるものだと理解している人
これはそれなりに仕事ができるのに出世できていない人や、管理職になれない人が多く当てはまる項目です。
大抵出世したくてもできない人は自己評価が他者評価より高いことが多いです。
言い換えるのであれば、謙虚さが足りないことが多いです。
これは謙虚さがなく傲慢に見えるから評価を下げられている、というわけではありません。
上司や他者から評価されるポイントが何なのかを理解できておらず、自分がこれできたら凄いだろと思い込んでいるところに勝手にリソースを割いているケースが多いです。
つまり、他者から求められる(評価される)ことを期待値以上にやることだけにフォーカスしてください。
自己評価ほど会社組織で不要なものはないと思います。
管理職に選ばれる理由⑧情緒が安定している人
これは私が管理職を登用するときにとても大事にしています。
感情の起伏が激しすぎると部下が上司の顔色を見て仕事をするようになりますし、悪いニュースがなかなか上に上がってこなくなります。
また、単純に私がそういうタイプを面倒を見るのが面倒くさいというのもあります(笑
といっても、私も含めてただの人間なので感情が揺れ動くことは当然ありますし、声を荒げることは最近はないものの、それなりに叱ったりすることもあるので、基本的には情緒が安定していることが望ましいということです。
なるべく現場の社員には上司や会社ではなく、マーケットやお客さん、現場を見て仕事をしてもらうべきだと考えています。
管理職に選ばれる理由⑨目下の人を邪険にしない人
目上の人にはこびへつらい、目下の者には辛くあたる
これ世間一般の社会人が一番嫌う上司像だと思います。
私の主張としては、
目上にこびへつらうのは仕方ないけど、目下の人に辛くあたらない
です。
組織で働いている以上、上司や社長などにある程度へいこらするのは仕方ないことです。
ただ、だからといって見えないところで部下を邪険に扱っていいかと言われるとそれは全く違います。
上司や部下というのは役割であって、どっちが人として偉いかと言う問題ではなく、いつでもその配役は変わり得ます。
チームとして成果を出すために部下は仲間として扱う必要がありますので、勘違いして上から目線でわーわー言いそうなタイプはなかなか管理職としては登用されないでしょう。
これは管理職に登用するまえに、部署の後輩への接し方などを見ていれば、上役は何も言わないだけで大抵気付いています。
もし心当たりがある場合は身近な後輩に対する態度をゆっくりでもいいので変えてみてください。
管理職に選ばれる理由⑩正しいことをするために嫌われることを厭わない人
最後になりましたが、実は私が管理職を登用するときに一番求めていることはこれです。
厳しいことを率直に部下に伝えられるか、は非常に大事です。
優しいだけの管理職はいりません。
部下から好かれようと思ったら管理職はできないものだと思ってもらって結構です。
ただし、いくら厳しくてもほんとうは愛がある上司であれば、結果的に部下から尊敬されますし、嫌われることは少ないはずです。
言うべきことを言えない上司の場合は組織が軟弱化していくので、結果的に事業が成功しないのでみんなの給料は上がりませんし、会社からの評価もされないのでキャリアがそこで止まってしまいます。
本音では言いたくない厳しいことも事業や組織を成長させるために毅然とした態度で部下や周囲に言える人物であるか、と言う観点は私は非常に重視していますし、私自身もそういう対応をこれまでずっとしてきた結果、経営幹部に信用されて管理職をやれてきているのかなと思います。
なので、個人として仕事はできて性格もよいのだけど、管理職にしてみたらマネジメントが全然できなくなるタイプはこういう優しすぎる(嫌われたくない)タイプが多いですし、性格的な問題もあるので正直不向きなのかなと思います。
管理職に選ばれるための10の法則まとめ
正直管理職に選ばれることはそこまで難しくないと思います。
もちろん上司が有能過ぎて席が空かなかったり、同僚が優秀過ぎて席がない、なんてことはあるとは思いますが、それが10年も20年も続くということは基本ありえません。
今回の管理職に選ばれるための10の法則を何度も読んでもらって、意識して行動してもらえれば、必ず近いうちに管理職への打診がくると思います。
管理職は管理職で最初は厳しいことも多いですが、やっていくうちにやり甲斐も出てくるし所得も上がっていくので、この記事を最後まで読んでくれたみなさんが早く管理職に登用されることを心から願っています。
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